岩のりのお話 風雪厳しい焼尻島の冬の風物詩

3月も半ばに差し掛かりましたが、コロナ問題ときたらどこへ向かうのか。宿の予約も少し入ったけども、さてさて。一応、対応策は練ってます。

本当であれば20日からECOFFボランティアの受け入れなんだけど、例のごとく自粛するハメに。。お陰で岩のり作業が捗りました。

さて、今回はそんな岩のりについての話。

すっごい久しぶりに焼尻の資源について書く気がする。。笑

岩のりとは

焼尻島と言えば、1にも2にもサフォーク種のめん羊がピックアップされるんだけども、僕にとっては羊よりも岩のりです。笑

そもそも焼尻島は、海藻に恵まれた島。お土産品が少ない焼尻島において、海藻は今や唯一の地物のお土産品と言っても良いほど。(お土産増やしたいなー)

この時期は潮枯れしがち

そもそも岩のりとは、岩におがっている(自生している)天然の海苔のこと。逆に言うと、それ以外の海苔は「岩のり」を名乗れないワケです。なので、岩のりってなかなか市場に出回らない希少種。今でこそ、一部の地域ではネットで買えたりもするけれど、それでも旬の時期にちょっと出回ってすぐ終わり。もちろん値段も、普通の養殖の海苔とはケタが違います。

黒っぽいのが岩のり。それ以外の海藻が混ざらないように。。

焼尻島の岩のり漁

焼尻島では例年2月の下旬ごろに1回漁があり、その後1週間あけて自由採捕という流れ。時間も制限があって、初回は8:00~10:00の2時間、2回目以降は8:00~12:00の4時間の間しか取れません。もっとも、僕も他の島の人たちもだいたい2時間くらいで終えますが。(4時間も取ると量が多すぎて処理追い付かない)

なんかカッコイイ写真

岩のりが生えている場所は、海岸沿いからざっくり25m程度の範囲。

齢80過ぎのじいちゃんばあちゃんでも、足元が安定しない岩場を乗り越えていきます。地域によっては岩のりをとるための鎌を使ったりするそうですが、焼尻の人たちはだいたい手でむしってます。

足下に気を付けて。

海苔打ち

ボウルに水入れてひたすら水通し。

とった岩のりを「海苔打ち」します。

まずは水にさらして砂や小石を取り除きます。海藻はお湯に弱いので、冷たいからと言ってお湯は使えない。冷たい。そもそも岩のりは岩に育つわけで、砂や小石が混ざってしまうのはごく当然のこと。こればっかりは仕方ない。だけど、アレがイヤなんです。アレ。

海苔の中に混ざった砂噛んでしまって“ジャリッ”ってなるやつ。

なので、出来上がって袋に詰めるまで、常にチェックしてます。

ひたすらタントン叩く。ちょっとストレス発散になる。

そして、包丁で叩きます。この作業、島の人は海苔専用の裁断機にかけて細かくする人が多いのですが、僕の場合はこの作業を出刃2本でひたすら叩きます。めっちゃ肩凝る。

地域によっては、切り株を台にして叩くとか。なんかカッコイイ。僕は何の味気も色気もない抗菌まな板の上で叩きます。

島の人いわく、「機械にかけると仕事が早い反面、どうしても機械の熱が伝わって味が少し落ちてしまう」とか。あと、僕の仮説として「岩のりを細かくしすぎると、成分がそれだけ逃げてしまうのでは?」というのがあるけど、どうだろう。

とにかく僕の場合、島の海苔が好きすぎるので、包丁で叩く手法を選んでます。

これに没頭してると気が付いたら5時間くらい経ってたりする。

んで、型枠にノマ(すだれみたいなやつ)を挟んで漉く。牛乳パックでハガキ作ったときの要領。笑

水切って干す

水切り

ノマを傾けて水切りすると、海苔が崩れずノマに張り付いてくれます。これをそのまま干す。

ほかの有名な地域(松前とか奥尻島とか)では、屋外で干すみたいですね。焼尻の場合は基本的に室内に干して、ストーブを入れて乾かします。なんでだろ、風が強いからかな?

海苔干す小屋

干すまでに手を滑らせたりすると、せっかく形作った海苔が落ちてしまうことも。そうなるとテンションだだ下がり。

んで、乾いたら剥がして出来あがり。

ノマを前後に引っ張ると海苔だけキレイに剥がれてくれる。(乾燥が甘いと破れる)

うまみ成分がすごい!

うまみ成分についてどれほどご存じだろうか。

一般的に昆布や野菜などに多く含まれるうまみ成分としてグルタミン酸

豚肉やカツオなど動物性のものに多く含まれるうまみ成分としてイノシン酸

干し椎茸などきのこ類に多く含まれるうまみ成分としてグアニル酸

……がよく知られているんだけども、海苔にはこの3種のうまみ成分がそれぞれ豊富に含まれています。異なる種類のうまみ成分を掛け合わせると、うまみが倍以上になる「うまみの相乗効果」なんて言葉もあるくらい、複数のうまみ成分が掛け合わさると、文字通り「うまい」ワケです。でも海苔には最初からそれらが入っています。そりゃ「うまい」ワケです。

わかりやすい表を見つけたで引用させていただきます。

日本うま味調味料協会HPより引用

単独よりも複数のうま味成分を掛け合わせるとでうま味が飛躍的に増す……ってやつ。

新卒で某昆布の加工食品メーカーに勤めた僕なので、この辺の話題に対してはアツいです。笑

焼尻産岩のりの味わいかた

岩のりはいわゆる”素干し”の状態。

これをコンロの火で炙ってやると緑っぽく変色して”焼き海苔”になります。風味が格段に増し、より香ばしくなってまた美味い。

このままおにぎりとして包んでやるも良し(羽幌炭鉱にちなんで「炭まんま」と呼ぶ人もいるらしい)、お吸い物に入れるも良し。

炭まんま(ブログのために握った)

僕は変化球として、佃煮を作って豚バラ肉で巻いたり、かき揚げにしたりします。何しても美味い。市販の海苔も普通に好きなんだけど、やっぱり焼尻産は格別。しっかり乾燥するか冷凍すれば保存も効きます。素晴らしい。

良かったらぜひ買ってね。

岩のりはじめ焼尻の海藻は、基本的にゲストハウスのお土産用として作っておりまして、一部は仲の良い飲食店に卸したりもしているワケですが、なんせコロナ問題であからさまに需要が鈍ってます。。。(´ω`)ゲストハウスも最近やっと予約入ってきたけど、まだまだ鈍そう。

余らせるのは本当に勿体ないんで、試しにBASEかSTORESあたりで売ってみようかなーと検討中。

個人的にお声かけ頂いても喜んでお売りします。

ぜひ買ってくださいまし!

たまにタコに出会う

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