学生時代に全国の離島を旅したことがきっかけで、「島が好き!」と思うようになりました。

会社勤めをしながらも、「いつかは島で暮らしたい」……なんて思っていたのですが、2014年1月、いろいろなきっかけが重なり、地域おこし協力隊という3年任期の仕事で焼尻島へ移住することができました。

しかし、無知で未熟な僕を待っていたのは、厳しい島の洗礼の数々。

都会のようになんでも揃う便利さはありませんし、誰かに頼ってばかりもいられません。積雪も寒波も都会暮らしの比ではなく、夏は土日も忘れるほど忙しい毎日。人口の少ない島ですから、いろんな場面で気を遣い、それがストレスを感じることも多々ありました。

そんなこんなで疲れ果てていた島暮らし1年目の僕。「これからこの島でやっていけるのか?」と弱気になっていたある日、道端で島のお年寄りに声をかけられました。

「どこ行く?何もねぇけど良かったらやすんでけ」

言われるまま家に招かれた僕は、そのままコーヒーと魚の干物(!)をご馳走になりました。そして何かと話し込んでしまい、気が付けば3時間半もの時間が経過。その時、少し気が楽になっていたことを覚えています。

それからも、時にこうして「やすんでけ」と言っていただき、お世話になったことが多々ありました。何かと心に余裕のない日々を送っていた僕ですが、少し島の人に甘えさせてもらい、何かと助けられてきた3年間でした。

「やすんでけ」という名前はこんなお話に由来しています。

焼尻島は1周わずか10.6km。車に乗れば30分程度で1周できてしまう小さな島です。だからこそ、せわしなく島を見てまわるよりも、じっくりのんびり楽しんでほしい。一見何もないような島ですが、実は引き出しの多い島なんです。

そういう思いを込めて、「やすんでけ」。

 

家主:おっくん