焼尻島と行者にんにくのヒミツ♥なカンケイ
いかがお過ごしでしょうか。
焼尻島・ナントカおこし協力隊のおっくんです。
すっかり春めいてきました焼尻島。
この時期の焼尻名物・エゾエンゴサクも咲き乱れております( `・ω・´)
ちなみにエゾエンゴサクの花言葉は“妖精たちの秘密の舞踏会”。
スゴくないですか?
妖精!秘密!舞踏会!……って、なんともいえない魅惑的な響きです。。
(※正式な花言葉ではなく、2008年に放送された『風のガーデン』ってドラマの作中に名づけられたものですが……)
行者にんにくだけは教えてもらえない。
いやー、それにしても“秘密”ってなんだか気になっちゃいますよね。
焼尻島に移住して1年以上経過した僕ですが、聞けど調べど島民から秘密にされていたことがありました。
焼尻に育つ山菜のひとつ、「行者にんにく」です。
ちなみに花言葉は“深い悲しみ”。なんか重い。笑
『wikipedia – ギョウジャニンニク』
「ギョウジャニンニク」
◆ユリ科ネギ属 別名:キトビロ、ヤマビル、ヤマニンニクなど
行者ニンニク(行者にんにく/ギョウジャニンニク)ギョウジャニンニクはタマネギやニンニク、ニラなどと同じユリ科ネギ属の多年草です。日本には近畿以北から北海道にかけて分布していますが、東北より南では高山でしか見られません。そのため、「行者が食べるにんにく」ということから名付けられたという説が有力です。初夏に葱坊主と同じような花を咲かせ、それからできる種と株から出てくる新芽で増えていきます。
◆収穫できるまで5年以上かかる
ギョウジャニンニクは成長が非常に遅く、種を蒔いてから2年目の春にようやく芽を地表に出します。そででもひょろひょろの茎に葉は1枚だけで、3年目から4年目になって葉が2枚以上となり、5年目あたりでよぷやく茎が伸びて花が咲き種がつき始めます。それくらいになってようやく株の太さが鉛筆の太さくらいとなって収穫できようにあなります。
◆天然ものは激減しています
ギョウジャニンニクはキトビロやアイヌネギなどとも呼ばれ北海道の特産山菜として有名ですが、上記の通り成長には長い年月がかかるにもかかわらず、根こそぎ乱獲する人も増え、現在ではその数が激減しているようです。ただ、栽培技術も確立され、現在出回っているものの多くは栽培されたものとなってきています。
『旬の食材百科』
http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/Gyoujyaninnniku.htm
……ってヤツ。
北海道では「アイヌネギ」とも呼ばれるこの山菜、その希少価値の高さから、「生えている場所は家族にさえ教えない」なんて話をよく聞きました。
それは焼尻島でも例外ではなく……。
焼尻のことを質問すれば何でも快く教えてくれる島の人たちなのに、行者にんにくだけは全然教えてもらえませんでした。「それは自分で探しなさい」の一点張りなのです。
焼尻島は海の幸も山の幸も徒歩圏内。だからこそ、魅惑の存在「行者にんにく」
焼尻島の何がステキって、海の幸も山の幸も徒歩圏内ってこと。
今年から海藻採りをはじめた僕ですが、海なんて歩いて数分で行くことができます。
それでいて、山菜も歩いて数分の距離に育っていたりするワケです。
このどちらも身近すぎる距離感は本道側ではなかなかありえません。
しかし焼尻なら、今時期の三つ葉に始まり、もう少しでタラの芽、ふきのとう、わらび、うど……などなど育ってくる予定。30分もあれば、今晩のおかずを調達できちゃいます。
……が、行者にんにくだけは、どこに生えているのやら。
クサいと評判なのに「それがヤミツキになる」行者にんにく。食べた翌日に口臭でバレると言われる行者にんにく。栄養価抜群で「元気の塊」と言われる行者にんにく。
ああ、魅惑の行者にんにく。
僕だって日ごろ怠けているわけではなく、それなりに島を歩います。歩いてはいるのです。が、“暗中模索”とはまさにこのこと。
草花に恵まれたこの焼尻島、図鑑の写真だけを頼りにお目当ての山菜を探し当てるのは、なかなかゆるくありません。
そして、島の人はしれっと採ってきて、なんならおすそ分けしてくれる。
去年のある日、島の名所・オンコ林の中からふらっと出てきたじいちゃんが、片手に持っていたのは大量の行者にんにく。
僕は思わず
「どこで採ったんですか!?」
……と聞いたものの、案の定
「いやぁ、教えらんねぇな」
との返事。
そりゃそうやんなぁ……と、残念がる僕にじいちゃんは
「したら、これ全部持ってけ」
僕は行者にんにくを全部もらってしまいました。
……そう。島の人たち、行者にんにくの場所は教えてくれないけれど、なぜかおすそ分けは快くしてくれる。
ある日は道をすれ違ったときに。またある日は焼肉(※)にお呼ばれしたときに。
秘密なようで、秘密じゃなくて、でもやっぱり秘密。
ホント、悶々させられます。
(※)焼肉……北海道では、各家庭の軒先でおこなわれるバーベキューを「焼肉」と呼びます。焼尻でも暖かくなるにつれ、いたるところで肉の焼ける音とニオイが……。
それはある日、ふとした瞬間に見つかった。
行者にんにくの存在が気になりすぎた僕。
ある休日、僕は「今日は行者にんにくを探す!」と決めて、島を1日じゅう歩きました。
焼尻島は外周10.6km、面積5.21平方キロメートルの小さな島。夏にやってくる観光客も、気が早い人は日帰りしちゃう島。
なのに、こうもひとつの山菜が見つからないものなのか。
思えば、いろいろ見ているようで、全然知らないことだらけ。
行者にんにくの場所に限らず、目の前を飛んでいった鳥も、傍らで白い花を咲かせている植物も、今年から採り始めたぎんなん草や岩のりのまわりに育っている海藻も、実はよく知らない。
実はこの島、めちゃくちゃ奥が深い。
……と、行者にんにくひとつ探すだけで、クソマジメに刺激を受けた僕。けっきょく、その日は見つかりませんでした。
―――――しかし、また別のある日。
まったく別の目的でとある場所を歩いてたら普通に見つかりました。笑
じゃん。
これ、これ、根もとが紫がかってるし、ニオイも独特のニンニク臭がほのかに。
あんなに探しても見つからなかったのに、意外なタイミングで出会うものです。島の秘密ってヤツを、ひとつ見つけました。
枯れ葉を突き破って育つんですね。。すげー。
よく見ると、葉を刈った痕が。。この場所は他の人も知ってるんやな……(´・ω・`)
ちなみにこの場所……、いや、教えられません。笑
ざっくりまとめ
ってなワケで、遅ればせながら、僕も焼尻の秘密にタッチできたワケです。
秘密のままってのも悪くないですが、その秘密が解けていくカンジを楽しめるのは移住者の醍醐味かもしれません。
僕にとっては2度目の春を迎えた焼尻、まだまだ奥が深そうです。