地域おこし活動を通じてコト、モノの奥行きを体感すると、知った風な口はきけなくなる。

IMG_1626_Rここまで視界が悪いと逆に楽しいです。

 

お疲れ様です。

北海道の左上のほうに位置する焼尻島のおっくん(@yagishiriTV)です。

まだまだ肌寒い日もある焼尻島。昨日なんかずっと霧がかっていて、気温も10度前後しかありませんでした。十勝温泉では6月にも関わらず積雪があったそうですが、いかがお過ごしでしょうか。

焼尻でも一部ではときどきストーブがたかれています。それでいて、薄着で過ごしている人もいます。冬でさえ朝晩しかストーブをたかなかった関西出身者としてはツッコミたくて仕方ありません。

Why Hokkaido people? Why?

ミニにタコおっくんなりのユーモア

 

“コト、モノの奥行き”とは

さて、今回は「地域おこし活動を通じてコト、モノの奥行きを体感すると、知った風な口はきけなくなる。」という話。マジメくさいですね。でも良かったら読んでみてください。

IMG_5012_R3月くらい

地域おこし協力隊1年6ヶ月めの僕。地域おこし活動を通じていると、さまざまな分野に向き合ったりするのですが、僕のもとに集まってくる膨大な情報量に圧されてパンクしそうになるときがあります。

どういうことかと申しますと……たとえば、冬時期だと海藻の仕事。

焼尻の海藻の仕事って、慣れた人に言わせれば「海藻なんてそんなもん採って干すだけだべや!」なんて言葉で終わってしまいます。

けれども、僕からすれば奥深い。

たとえばひとくちに海苔と言っても、ウップルイノリだのアサクサノリだの、細かく分類すれば種類ごとに見た目も違うし口に含んだときの風味も違う。

さらに育つ場所だって微妙に違う気がしたし、干したやつを火に炙ってみても香ばしさが違ってくる。

調理の向き不向きもある気がする。

慣れた人の言葉をそのまま鵜呑みにして「採って干すだけ」でも良いけれど、踏み込んだ発想で考え始めるとキリがない。

これを僕は“コト、モノの奥行き”と、自分の中で呼んでいます。

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左:アサクサノリ

右:ウップルイノリ

 

「なまこ漁は稼げる」と口で言うのは簡単ですが、

IMG_1659_Rなまこ漁準備中です。

島で10年20年漁師をやっている人のお話を聞いたときも、同じように奥行きを感じさせられました。

たとえば、焼尻の漁師さん勢が1年でもっとも稼ぐというなまこ漁。

ただ「海からなまこをとっている」と言えばそれまでですが、当然そこにも奥行きが存在して……

なまこはどこに棲んでいる?

網で取るが仕掛けの工夫はどうすればいい?

万が一網が破れないためには?

操業効率をあげるために何に投資する?

……と、やはり踏み込んで考え始めれば非常に奥深い。まして、扱っているモノ、お金なんて、都会でサラリーマンをやっていた僕の想像のはるか上をいきます。けれど、その分繊細で地道な準備活動があっての仕事であることは、なかなか知る機会もありません。もっと言えば、そもそも漁師になるためのハードルだって、普通の仕事に就くことの比ではないと思います。僕はたまたま、そういうことを教えてもらう機会に恵まれましたが。。

そういった部分をすっ飛ばして、知った風な話を語りがちな点は注意が必要です。島で生活するなかで、こうした“奥行き”をまのあたりにすると、僕なんかはぐうの音も出なくなってしまうのです。

IMG_1152この漁具の形状には意味があり、それを自分たちの手でつくっている。

 

簡易宿所開業を目指す、自分事として考える奥行き

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何度か述べているように、僕は島で簡易宿所の開業を夢見ていました。

夢だ夢だと言っているうちは綺麗に聞こえますが、じゃあどうやって具体化する?と考えたとき、やっぱり奥深い。

都会にいた頃の発想としては、「サラリーマンで何とかお金をためて、その資金で建物を確保し、開業する」程度でしたが、今は違います。

建物を手に入れたとして、限られた資金、マンパワーで何から手を付けていく?

お手洗いの水洗化、床の張替え、壁紙の張替え、まず先にすべきは何?

床の張替えをやるとして、それに妥当な資材はどれ?

床の張替えをやるとして、それに必要な機材は買う?借りる?

……と、考え始めると「こんなにも考えることがあるんだ!」と、それまでの自分の思慮の浅さに愕然とさせられるワケです。笑

前回のブログ記事(『地域おこし協力隊としての任期が残り半分。あまり整理できてないけど、とりあえず現状を整理する。)でも述べたように、島民若手で組織した法人活動を通じて、空き家を1軒譲っていただく流れとなりました。当面、法人名義での所有になりますが、いずれ有効活用できるよう(つまり、僕の主体的な努力次第で……)改修を進めていく予定です。要は、すぐ住める状況ではありません。

こういう事柄を一人で考え始めると、とても協力隊任期の3年だけでは足りません。それくらい、何事も奥が深い。実現化のために行動を開始しましたが、正直まだ“奥行き”が読めていません。

IMG_0545空き家改修のためにはまずゴミ処理が必要。協力隊の勤務時間が終わったあとに、業者さんを手配し、分別し、トン袋で分け、業者さんのデカいトラックで運べるように……云々。

 

「島を案内する」って言うけど、歴史は?野鳥は?花は?

IMG_1607焼尻の花々。何種類あるのやら。

このように、“コト、モノの奥行き”を感じさせられる場面が非常に多くなってきました。

ほかにも、僕は「夏は島のガイドをやるつもり」と言っていますが、島の歴史も掘り起こせばキリがない。

野鳥だって鳴き声だの色だの種類だの言い出せばキリがない。

花の島と呼ばれる焼尻の花々は「何種類あんねん!」と突っ込みたくなるほど多彩です。

焼尻に限らず田舎を指して「何も無い」と言ってしまうことは多々あるものの、むしろお腹いっぱいになるレベルで覚えることだらけ。こうした刺激は純粋に楽しいです。

でも、期限付きの僕は楽しんでいるだけじゃダメ。

その中から少しでも生産活動に変えていく努力が必要だと思うワケでする。

IMG_1664歴史とか風景とか生物とか、焼尻の魅力を自分なりにまとめてはいるのですが……。

 

というワケで、まとめます。

最近ブログを放置していた理由のひとつに“コト、モノの奥行き”を体感してひるんでいた。というのがあります。

たとえば「焼尻のなまこ漁は凄い!」と知った風に言うのは簡単です。でも、僕は漁師でもなければ、その裏に潜む努力、工夫を知っているわけでもありません。当事者じゃない以上、客観的かつ表面的な部分ばかり目に付きますが、それをふわっと知った気になって軽々しく感想を述べてしまうのはいかがなもんかと思うようになりました。

往々にして、地域おこし系のブログはそういった記事が多くなりがちだと思います。でも僕の場合、後々振り返ると赤面モノだったりするので注意が必要なのです。笑

なので、もはや心構えのレベルになるのですが、協力隊活動を通じて刺激を得たとしても知った風な口をきかないこと。

どんな事柄にも“コト、モノの奥行き”があり、それを踏まえて謙虚にまい進すること。

これを常に意識したいと思うようになり、最近に至ります。。

IMG_1411エゾスカシユリ。花言葉は「あなたは私をだますことができない」。

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